2011年12月02日

第3回拡大ランチ会レポート

突撃!!拡大ランチ会!!!  (今回は薬学部助教会主催です)

好評だった第1回、第2回に引き続き、第3回拡大ランチ会は、佐藤健太郎先生をお招きして、『有機化学美術館の13年』をテーマに御講演頂きました。今回のレポートは、海野(薬学)が担当します。インタビュー記事は小松さん(国関・学生)、写真は酒井さん(県大・広報室)と小松さんの2人からご提供頂きました。

さて、11月24日当日。この日の朝は雲一つ無く快晴で、迫り来るような霊峰富士を望むことが出来ました。これならば、佐藤先生にも静岡に来て良かったと思ってもらえるに違いない!とワクワクしながらTwitterをチェックすると・・・

14_original2.jpg @KentaroSato
>>新幹線小田原なう。いい天気でよかった。原稿チェックせねば。

佐藤先生・・・。講演のためにギリギリまで原稿チェックをして下さっているなんて・・・。きっと誠実で素敵な方に違いない(アイコンの様?!)と想像は膨らみます・・・。

そして、実際にお会いした佐藤先生は、明るくて優しく、そしてイクメン。化学の話だけでなく、国道やドリンクなど趣味の話もして下さる、想像以上の素敵な方でした。(初対面なのに恐る恐る差し出した甘酒キャンディーを『美味しい』とその場で食べて下さる姿に感動! 佐藤先生、ありがとうございます!!)

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会場(小講堂)の方はと言うと80名以上の参加者があり、後からアンケートを集計してみると、全学部の先生や学生だけでなく、県大事務や一般の方々も御参加下さっていたことがわかりました。嬉しいですね〜。

佐藤先生の御講演の前に、野口博司先生と浅川倫宏先生の両先生よりご挨拶がありました。
(おっ!! 浅川先生、マイクを持つ手が震えていますよ!)

講演の中で、佐藤先生は、幼い頃偶然に手にした化学に関する本から、分子の動きと働きに‘美しさ’を見出したという話をされていました。佐藤先生にとっては、『有機化学美術館』と名付けたことさえも極々自然なことだったのでしょう。製薬企業職からサイエンスライターへの転身も、攻め方を変えただけで『化学に対する想い』は変わらなかったのだと思いました。

その有機化学美術館なのですが、現時点で既に13年という長い歴史があります。ホームページ開設当初は丁度googleが出来たばかりの頃です。依然としてインターネットが一般的では無い中で、佐藤先生は『人に見られることを意識して』世の中に情報を発信し続けた訳です。一部の科学者だけで埋没してしまう知識を一般の方々に理解してもらうように発信し、一般の方々が活用することで社会的貢献へと繋げる・・・。架け橋の様な役割・・・。まるでランチ会ブログの名前’Crossing the Chasm’みたいです!

全体の話を通して、佐藤先生の、若い頃の夢を持ち続ける姿勢、夢に対して真摯に取り組む姿勢、世間の動向に敏感で柔軟に対応する姿勢、自分の立場を的確に捉え行動に移す姿勢、とても興味深く、その言葉は体の細部にまで染み込んでいく様でした。我々若手研究者や学生は、夢と現実、継続と動向などの狭間で問題を抱え、時に行き詰まってしまいがちです。その中で、少しだけ年の離れた、夢に向かって果敢に挑む佐藤先生の姿に勇気づけられた方も多いと思います。写真の皆の表情からも、本講演が素晴らしかったことが分かりますね!今日は佐藤先生のお話を伺うことが出来て本当に良かった!

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講演後に御提出頂いたアンケートを見てみても、ほぼ100%の方々から、今回サイエンスを楽しめたとの感想を頂きました。また、文系の学生さん達にも十分に楽しんで頂けたことが、インタビュー記事からも分かって頂けると思います。さて、今回の拡大ランチ会でも、小松さんにインタビュー記事の執筆をお願い致しましたので、以下にまとめて記載いたします。

19_original.jpg私は佐藤さんのサイエンスライターという肩書きに関心を持ち参加しました。どんなことを書かれるのだろうという興味と、私は記者を志望して就職活動をしてきたのですが、うまくいかず悩んでいたことも動機の一因でした。伝えることに対する佐藤さんの考えで、印象的なものが二つありました。一つは、面白く的確に化学を伝えることを使命にしていることです。何をどう伝えたいかという明確なビジョンを自分も持ちたいと思いました。二つ目は、人の心に残って行動を変える伝え方をしたいというものです。尊敬するドキュメンタリー映画監督の鎌仲ひとみさんも同じことをおっしゃっていて、違う分野で同じ考えを持っている方がいたことに驚きました。化学の道に入ったきっかけが小学生のときに読んだ本だということを聞いて、過去と未来が繋がっていると感じました。一時は諦めかけた記者の夢ですが、今記者になれなくてもここで終わりじゃないと感じています。化学の話を面白いと思えたのも初めてでしたし、この大学に薬学部がなければ知ることはない世界だったかもしれません。今まで国際関係の講演会ばかりに行っていたけど、今後は他の分野の講演会にも参加しようと思っています。(先生方へお願い)アンケートにTwitterって書いてあったけど、誰をフォローすればいいんですか?学生部からのメールで開催予定を送ってほしい。(国関4年・望月里奈さん)


18_original.jpg私は高校時代をフィリピンの学校で過ごし、理系科目からは数学と化学を専攻していましたが、難しくて化学へのハードルは今でも高いです。ですが、構造がおもしろいと思ってはいたので、形の美しさから入った佐藤さんの経験もわかる気がします。ブログに関してのお話では、所属していた学生NGOあおいでの経験を思い出しました。カンボジアの児童買春問題に取り組んでいたのですが、団体のブログを定期的に更新しだしてから仲間も人脈も増えたんです。ブログを見てイベントに参加してくれた人もいらして、決して多くはなかったけど、ブログがなかったら出会えていなかった方たちだったと思います。また、定期的に更新を続けることで仲間に良い影響があったんです。正しい情報を発信しようとする責任感。更には、真実を伝えるために多角的な視点で記事を書いていくうちに、カンボジアについて詳しくなったこと。そういうところを意識してやっていた現役のことを思い出させてくれて嬉しかったですね。自分が苦手意識を持っているものって敬遠しがちだけど、参加してみて良かったです。有機化学やサイエンスライターなど知らないことがまだまだたくさんありますしね。講演会やイベントって、その分野に詳しくない人に聞いてもらうことも大事だと思ったので、他組織と協力することって良いアイデアだと思います。(国関4年・佐藤夏苗さん)


16_original.jpgゼミの担当教諭である国保先生からお知らせしていただき、参加しました。私は商業高校時代に理科総合を勉強していましたが、今も正直あまり好きじゃないし、苦手です。ですので、今日も化学についてのお話はなかなか理解が難しかったですが、製薬会社の特許に関するお話はおもしろかったですし、理系の方に関われたことが新鮮でした。美しさ、話し方、笑いのポイントなど、普段関わっている人とは違うな、という印象を受けました。また、経営学を専攻している立場からして、理系の研究者の方が経営学的な頭の使い方をしていることが衝撃的でした。経営的な考え方は私たちに任せてくださいって思っていたけど、どんな分野のなかにも経営学的な考え方をして実践されている方がいるという事実は、経営学を学ぶ学生みんなに知って欲しい。知ることが価値になると思います。こういった講演会は一回来てしまえば楽しいんですけど、一回目のハードルが高くてなかなか参加できないことが課題だと思います。おもしろさをPRして、そのハードルを低くするともっと異分野の交流に繋がると思います。(経情4年・鈴木規之さん)




17_original.jpg今回の講演は、所属しているゼミの国保先生からのアナウンスで知りました。高校1年生のときに化学を勉強していたのですが、化学反応式が難しくて挫折してしまいました。今日も出てくる単語がわからないものも多かったのですが、佐藤先生の場合エピソードがおもしろく、楽しめました。また、笑いのポイントがここなの!?といった理系と文系の違いを感じたところも、新しい発見でした。反応のポイントの意外にも、質問、指摘する箇所も違うなあとも思いました。また、経営的な視点も興味があるということも発見でした。一つ目は情報発信の必要性をわかって、伝え方を工夫していらっしゃること。例えばブログを書くにあたってもターゲットを設定されているとか。次に、特許がなくなっていくのに新薬が生まれない問題の掘り下げをしていること。これは、正に私が経営学として学んできたところでした。理系の友達がいても学問的な話はしないので、理系の方たちの研究内容や考え方などを知ることができて勉強になりました。新しい発見があるのは楽しいので、今後の企画も楽しみにしています。(経情3年・水野侑梨花さん)



13_original.jpg今日は友人に誘われて参加したのですが、こんなにおもしろい講演会だとは思っていませんでした。講演会はおもしろくないものだと思っていたけど、見方が変わりそうです。食品化学を選考していますが、今回伺ったお話のなかでも初めて知ることは多く、化学の幅広さを改めて感じましたし、発見を多く得られました。自分の研究分野を発信していくことの大切さを改めて感じました。同じ研究室のなかでも、研究対象や研究方法はそれぞれ異なります。それぞれの情報を伝えることだけでなく、受け取ることも含めて伝え合うことを大切にしていきたいと思います。特に伝えることはしようと思っていてもなかなか難しいのですが、今回私が佐藤さんの講演を楽しめた理由を考えてみると、伝え方が大きかったと感じます。スライドの表現や、ところどころ笑いがあり雰囲気が良かったことなど、正に佐藤さんご自身がおっしゃっていたわかりやすくおもしろい化学でした。今後の参考にさせていただきます。(食品M2・飯尾美沙子さん)




15_original.jpg今日は友人に誘われて参加しました。私の専攻は佐藤先生と同じ有機化学系なのですが、先生のされている合成ではなく、植物から使えそうな成分をとってくる薬資というところを勉強しています。今回は有機化学をあまり知らない人でも楽しめるということを聞いて、あまり有機は得意じゃないのですが、興味があって参加しました。先生のお話も楽しかったです。2010年問題は、授業で出てきたことはあるんですが、実際の現状と企業の対策は初めて知りました。先生は研究を仕事のためにやっているというよりは自分が好きだからやっているとおっしゃっていたんですけど、だからこそ会社のためだけではなく様々な方向に研究を活かせるのではないかと思いました。企業での研究も、ライターとしての研究も、もとになる気持ちは一緒なんだと感じました。また、サイトを立ち上げて、自分の好きなことを知識として周りに発信されていることを尊敬します。発信すれば読者からレスポンスがあってお互いに影響し合って、高め合っていけるというのは新しい発見でした。今後のご活躍を期待しております。(薬4年・若宮紀子さん)




14_original.jpg元々佐藤先生のことは存じていました。私は折紙が趣味なんですが、佐藤先生も折紙がお好きで、折紙関係のイベントで一度お会いしたことがあるんです。先生は創作する人ではなく折る人なんだけど、すごくきれいに折っているので、古い方のサイトには載っているので見て欲しいですね。サイトや著書はすべて読んでいて、今日の話はリアルタイムですべて知っているんです。サイトのお話もされていましたが、宿題を教えてくれと頼まれたりされているんですよ。でもそれには答えないよ、自分で調べてってお断りされていて、最初から人に読ませるっていうスタンスで書かれていたんです。化学は芸術っていう考え方もおもしろいと思っています。著書やサイトの分子の図だけ見ていてもおもしろいですよ。まじめなばっかりじゃない薬学の分野もあるんですね。こういう企画をしてくれてありがとうって思います。今日お話を聞いて改めて、ブレない方だなと思いました。今後も先生のことを応援していきます。(一般・大野博美さん)



<取材サマリー>
講演会を終え、国際関係学部生2名、経営情報学部生2名、食品栄養化学研究生1名、薬学部生1名、一般の参加者1名の計7名に感想を伺いました。取材は国際関係学部4年の小松央美が勤めさせていただきました。佐藤先生の話のなかでも、それぞれジャーナリズム、化学の芸術性、キャリア、研究姿勢等など様々な部分に共感し、新たな発見があったようです。国際関係学部4年の望月里奈さんは、面白く的確に化学を伝えることを使命にしている佐藤先生に刺激され、諦めかけた記者の夢を再び追う気持ちを取り戻したようです。経営情報学部4年の鈴木規之さんは、佐藤先生が経営学的視点を持っていることに驚き、どの分野にも経営学的な考えを実践されている方がいるということを、経営学を学ぶ学生みんなに知って欲しいと言っていました。学外から参加してくださった大野博美さんは、佐藤先生の興味の幅広さとブレない研究への姿勢を尊敬していらっしゃり、講演会に参加できたことを喜んでいらっしゃいました。取材するなかで、佐藤先生がおっしゃっていた「わかりやすく、おもしろく化学を伝えること」と「心に残り行動を変える伝え方をすること」が達成されていたことを実感いたしました。私も皆さんの思いを「的確に伝えること」ができるよう精進して参りたいと思います。 (国関4年・小松さん)


加えて、ご参加下さった教職員の方々のコメントです。

私も、小学生のスポーツ指導で、分かりやすく伝えることに苦心しています。
共通語だと思っていたのが通じていないことが良くおこります。
小学生なので、興味を持つ工夫もいるので、「難しい」はダメだし食らいます。(産学連携・松本さん)

誰しもが自身の中に「意思」を持っている。有機化合物の『美しさ』に惚れこみ「意思」を発信し続けた結果、いわば趣味とも言える領域から仕事へと発展された佐藤先生の講演を御聞きして、ココロ震えるものがありました。本気になれるものに出会える人は少ないのかもしれませんが、己が信念をもってやり続けることの意義を見いだせるほどの素晴らしい時間を過ごさせて頂きました。継続は力なり。この講演を御聞きできたことに感謝です。(薬・鰐渕先生)

とにかく、先生のお話がとても分かり易く、楽しかったということでしょうか?

1)人との出会いを大切にしなきゃいけないと改めて、感じました。
(一期一会を大切に)
2)薬は、一つの薬に一つの特許で保護されていて、
その権利が切れると、後発メーカーの参入を許してしまうということも分かりました。
PAT出願は、積極的にやらないとダメですね。
3)先生が実名入りでブログをやっていること、継続して実施することが重要だと、感じました。
(自分もブログをやっているので、できるだけ、継続してできればいいなと思います)(産学連携・後藤さん)

今回私は、佐藤氏が我々の無茶な要望をどう解釈し、多様な聴衆に向けてどんな講演をなさるのか?に注目していました。主催者として皆さんに楽しんでもらえるか、実は少し不安もありました。終わってみると、佐藤氏が伝えたい内容は
シンプルでわかりやすく、時にはユーモアを交えながらのご講演は聴衆を飽きさせないため、化学が全く分からない文系の学生から有機化学を専門とする教授まで、幅広い聴衆を満足させる見事な内容でした(ご自身は公演は苦手とよく言っておられますが・・・)。到底、私に真似できるものではありませんが、今後の
自らのプレゼンテーションのための大変よい勉強になりました。(薬・井川先生)

化学とは本当に縁遠い生活を送ってきたのですが、この異分野融合フォーラムを通じて他学部の先生方とお付き合いをさせていただいている中で、異分野のことを知る楽しさを実感しています。今回のセミナーも、分からない部分がありつつも、好奇心を刺激されてもっと知りたい、もっと話を聞いてみたいという気持ちになりました。こういった「新しい世界への戸口にとりあえずつれていき、少し中を見せ、興味を持ってもらうことで足を踏み入れてもらう」というプロセスの設計が大事だなと感じました。私もマネジメントをもっと身近に感じてもらいたいと考えているので、大変参考になりました。(経情・国保)


皆様、コメントありがとうございました!!
拡大ランチ会の後に、看護棟で佐藤さんを囲んでの通常のランチ会が行われました。ご飯を食べつつ、佐藤先生からあーんな事やこーんな事を赤裸々に語って頂き、佐藤先生のお人柄にも触れることが出来ました。ここでは内容は省きますが、佐藤先生の御意志をより深く理解できたと思います。

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最後に、私から・・・。

皆様! 佐藤先生ご推薦(?)のキシリトール加工のシャツにも是非チャレンジしましょうね。
先生方! 科研費の申請書では学部生でも理解できる様な文章を心がけましょうね。
学生さん達! レポートは自分で書きましょうね(笑)。
佐藤先生! 静岡県立大学に再び遊びに来て下さいね!!国道の話も面白かったです。

そして・・・。

異分野フォーラムと薬学助教会の皆様! ご協力ありがとうございました。沢山の方々の御協力に支えられて進めるからこそ得られる意義、改めて実感出来ました。

それでは、長文を最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。12月8日に開催する拡大ランチ会(環境主催)もお楽しみに!


筆:太る一口と痩せる一錠を知ろう。 海野(薬)

posted by 県大助教会 at 23:42| 拡大ランチ会(ランチョンセミナー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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